地方企業では、人材不足や採用難を背景に、地域内だけでなく都市部で働く人材にも採用対象を広げることが重要になっています。その方法の一つとして注目したいのが「Uターン採用」です。
Uターン採用では、地元への理解や愛着を持ちながら、都市部で身につけた経験やスキルを持つ人材と出会える可能性があります。一方で、勤務地や生活環境が大きく変わるため、一般的な中途採用とは異なる情報発信や選考時の配慮も必要です。
本記事では、Uターン採用とは何か、地方企業が取り組むメリットや採用時の課題、Uターン人材から選ばれるためのポイントについて解説します。
Uターン採用とは
Uターン採用とは、一般的に地方から都市部へ進学・就職した後、出身地やその周辺へ戻って働くことを希望する人材を採用することです。
似た言葉に「Iターン」「Jターン」があり、それぞれ次のような違いがあります。
| 種類 | 意味 |
|---|---|
| Uターン | 地方から都市部へ移り、その後出身地へ戻って働く |
| Iターン | 都市部などで育った人が、出身地ではない地方へ移住して働く |
| Jターン | 地方から都市部へ移り、その後出身地に近い地方都市などへ移住して働く |
これらをまとめて「UIJターン」と呼びます。厚生労働省でもUIJターン就職に対して職業相談や職業紹介などの支援を実施しています。
地方企業にとってUターン採用は、採用対象を地域内だけに限定せず、都市部などで働いている人材にも広げる採用方法の一つといえます。
地方企業がUターン採用に取り組むメリット
採用対象となる人材を地域外まで広げられる
地域内の求職者だけを対象に採用活動を続けていると、人口や求職者数によって採用できる人数に限界が生じる場合があります。
Uターン採用に取り組むことで、現在は都市部に住んでいても「いずれ地元へ戻りたい」「地元で働きたい」と考えている人も採用対象になります。
厚生労働省では、地方企業の人材不足対策としてUIJターン採用に関する企業向けの情報提供も行っています。
都市部で培った経験やスキルを活かしてもらえる
Uターン人材の中には、都市部の企業で営業、IT、マーケティング、マネジメントなどさまざまな経験を積んでいる人もいます。
自社に不足している経験やスキルと候補者の経験が合えば、新しい業務の進め方や考え方を取り入れるきっかけにもなります。
ただし、「Uターン人材=即戦力」と考えるのは注意が必要です。重要なのは、都市部で働いていたこと自体ではなく、これまでの経験を自社のどの業務で活かせるのかを採用時に確認することです。
地域への理解を持つ人材と出会える可能性がある
出身地へ戻るUターンの場合、地域の生活環境や文化などをある程度理解していることも特徴です。
Iターンなどと比較すると、家族や友人など地域とのつながりが残っている場合もあります。
企業側も「地元出身だから定着する」と決めつけるのではなく、なぜ地元へ戻りたいのか、今後どのような働き方を希望しているのかまで確認することが大切です。
Uターン採用で地方企業が抱えやすい課題
Uターン採用は採用対象を広げられる一方、求人を掲載するだけでUターン希望者から応募が集まるとは限りません。
求人情報を見つけてもらいにくい
Uターンを検討している人が現在も都市部で生活している場合、日常生活の中で地元企業を知る機会は多くありません。
そのため、一般的な求人媒体だけでなく、ハローワーク、自治体の移住・就職支援サイトなど、Uターン希望者との接点を増やすことが必要です。
厚生労働省の地方就職支援では、地方企業との面接機会を提供する合同面接会なども行われています。
給与だけでは比較されやすい
都市部から地方への転職では、現在の勤務先と地方企業の給与に差が生じることもあります。
その際に求人票で給与や勤務時間などの条件だけを伝えていると、条件面だけで比較されてしまう可能性があります。
仕事内容や任せたい役割、キャリア、働き方、地域での生活など、「この会社・この地域で働くとどのような生活やキャリアになるのか」までイメージできる情報発信が重要になります。
転職と移住を同時に検討する必要がある
Uターン転職では、仕事を変えるだけでなく、引っ越しや住宅、家族の生活なども考えなければならないケースがあります。
地域によっては、移住や地方就職を支援する制度が設けられています。対象者や支援内容、実施状況は自治体によって異なるため、企業側も自社の所在地で利用できる制度や地域の生活情報を確認しておくとよいでしょう。応募者への情報提供にも活用できます。
企業側も採用情報だけでなく、自治体の支援制度や住宅、交通など、応募者が知りたい生活関連情報を案内できるようにしておくとよいでしょう。
Uターン採用を成功させる5つのポイント
Uターン採用では、地域外にいる人材にも自社を知ってもらい、応募から入社後の定着までを見据えて採用活動を進めることが大切です。ここでは、地方企業がUターン採用を成功させるために意識したい5つのポイントを紹介します。
Uターン人材に求める経験や人物像を明確にする
まずは「Uターン人材を採用すること」を目的にするのではなく、自社がどのような人材を必要としているのかを整理しましょう。
例えば、
- 営業経験を活かして新規顧客を開拓してほしい
- IT経験を活かして社内DXを進めてほしい
- マネジメント経験を活かして若手を育成してほしい
など、採用後に任せたい仕事まで具体化します。
求める人材像が明確になれば、求人で訴求する内容や使用する採用手法も考えやすくなります。
仕事内容やキャリアを具体的に伝える
「地元で働けます」「地域に貢献できます」だけでは、応募者が入社後の姿をイメージすることは難しいでしょう。
求人には、仕事内容だけでなく、
- 入社後に担当する業務
- これまでの経験を活かせる場面
- 将来的に任せたい仕事
- キャリアアップの方法
- 職場で一緒に働く人
なども具体的に記載します。
特に都市部で経験を積んだ人材に対しては、「あなたの経験を当社ではこう活かせる」と伝えられる求人設計が重要です。
仕事だけでなく地域での生活も伝える
Uターン希望者にとって勤務地は、単なる「会社の所在地」ではありません。
通勤方法や住宅環境、生活コスト、子育て環境なども転職を判断する材料になります。
企業だけですべての情報を用意する必要はありません。自治体が提供している移住支援制度や地域情報なども活用しながら、仕事と生活の両方をイメージできる情報を提供しましょう。
遠方からでも応募しやすい選考方法を整える
都市部に住んでいる候補者に毎回現地まで来てもらう選考では、応募のハードルが高くなります。
一次面接をオンラインにする、会社説明をオンラインで行う、最終選考時に職場見学を組み合わせるなど、遠方に住んでいる状態でも選考を進められる仕組みを検討しましょう。
入社後の定着まで考える
採用できたら終わりではありません。
地元へ戻った人でも、仕事や職場環境に慣れるまで時間がかかることがあります。また、都市部と地方企業では仕事の進め方や組織文化が異なることも考えられます。
定期的な面談や上司からのフォロー、入社前に聞いていた仕事内容とのギャップがないかの確認など、入社後のフォローまで含めてUターン採用を設計することが重要です。
まとめ
Uターン採用は、地方企業が採用対象を都市部などで働く人材まで広げる方法の一つです。都市部で経験やスキルを身につけた人材と出会える一方、転職と移住を同時に検討するUターン希望者への配慮も必要です。
採用を成功させるためには、求める人材像を明確にし、仕事内容やキャリア、地域での暮らしを具体的に伝えることが大切です。また、遠方からでも応募しやすい選考方法を整え、入社後の定着まで見据えて取り組みましょう。
Gozaru部では、「応募が集まらない」「自社に合った人材の集め方がわからない」など、企業ごとの採用に関するお悩みに合わせて採用活動をサポートしています。Uターン人材の採用をはじめ、採用についてお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
出典元:
厚生労働省「地域雇用対策-人材の地方移動支援 ~UIJターンによる就職の支援~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/chiiki-koyou/index_00005.html
内閣官房・内閣府総合サイト「起業支援金・移住支援金・地方就職支援金」
https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html

















