部下とのコミュニケーションや人材育成を目的として、1on1面談を取り入れる企業が増えています。一方、実際に担当することになり、「何から話せばいいのか分からない」「毎回同じような話になってしまう」「部下から話を引き出せない」と悩む方いるのではないでしょうか。
パーソル総合研究所の調査では、1on1面談に関する困りごととして、上司の35.4%が「面談について学ぶ仕組みがない」、27.6%が「面談の効果が感じられない」と回答しています。まずは、上司・部下双方が目的や進め方を理解することが重要といえるでしょう。
この記事では、部下との1on1面談をどのように進めればよいのか、事前準備から当日の流れ、面談で使える質問例、実施後の振り返りまで具体的に解説します。
「部下が話す時間」を意識する
1on1面談は、上司と部下が1対1で定期的に行う面談です。特に人材育成を目的とした1on1では、上司が一方的に指示やアドバイスをするのではなく、部下が自分の経験や課題について振り返り、考えを整理することが重要になります。
そのため、通常の業務ミーティングとは目的を分けて考える必要があります。
例えば、「今週対応した仕事」「案件の進捗」「来週までにやること」だけを順番に確認すると、面談ではなく業務の進捗確認になりやすくなります。
面談では、「その仕事で何に困っているのか」「なぜうまくいったと思うのか」「今後どのような仕事に挑戦したいのか」といった、普段の業務報告では拾いにくい内容まで対話することがポイントです。
パーソル総合研究所も、1on1面談を「部下が主役」の時間と位置づけ、上司が部下の話を聴き、本人の考える力を引き出すことの重要性を指摘しています。
始める前に準備しておくこと
有意義な時間にするためには、当日になって「今日は何を話そうか」と考えるのではなく、事前にある程度準備しておきましょう。
まず確認したいのが、前回の面談で話した内容です。
前回、「新しい業務に慣れず時間がかかっている」という話が出ていたのであれば、「その後どうなった?」と確認するところから始められます。
また、上司だけがテーマを準備するのではなく、部下にも事前に「今回話したいことはある?」と聞いておく方法もあります。
ただし、毎回細かなアジェンダを作成する必要はありません。準備すること自体が負担となり、継続できなくなっては本末転倒です。
「前回からの変化」「最近気になっていること」「本人に確認したいこと」など、数項目を整理しておくだけでも面談を進めやすくなります。
基本的な進め方
1on1面談に決まった進め方が目的によって内容を調整する必要があります。
ここでは、30分程度の面談を想定した基本的な流れを紹介します。
| 時間の目安 | 内容 |
|---|---|
| 最初の5分 | 近況確認・話しやすい雰囲気づくり |
| 5~15分 | 最近の仕事・困りごと・うまくいったこと |
| 15~25分 | 課題や本人の考えを深掘りする |
| 最後の5分 | 次回までにすること・上司が支援することを確認 |
①近況を確認する
最初から課題や仕事の話に入るのではなく、まずは部下の現在の状態を確認します。
「最近どう?」だけでは答えにくい場合は、
「最近忙しさはどう?」
「仕事をしていて気になっていることはある?」
など、少し具体的に聞いてみましょう。
ここで重要なのは、部下の回答をすぐに評価しないことです。
安心して話せる状態をつくることで、その後の会話を進めやすくなります。
②仕事の状況や課題を確認する
次に、現在の仕事について確認します。
単に「仕事は順調?」と聞くだけでは「はい」「特に問題ありません」で終わってしまう可能性があります。
そのため、現在の業務をいくつかの角度から聞いてみましょう。
例えば、
「最近、一番時間がかかっている仕事は?」
「やりにくいと感じている業務はある?」
「周囲に協力してほしいことはある?」
と具体化すると、本人も答えやすくなります。
③部下自身に考えてもらう
課題が出てきたとき、上司がすぐに「それならこうした方がいい」と答えを提示してしまうことがあります。
もちろん、緊急性が高い場合や本人だけでは判断できない場合には、上司から指示する必要があります。
一方、育成を目的とする1on1では、
「なぜそうなっていると思う?」
「どうすれば改善できそう?」
「自分で変えられそうなことはある?」
などの質問を使い、部下自身が考える時間をつくることも大切です。
仕事で経験したことを振り返り、成功・失敗の要因を考え、自分なりの学びとして言語化することは、部下の成長にもつながります。
④次のアクションを確認する
話を聞いて終わりにせず、必要に応じて「次に何をするのか」を確認します。
例えば、
「部下:業務の進め方を先輩に相談する」
「上司:業務量を調整できるか確認する」
など、本人が取り組むことと上司が支援することを分けておくと分かりやすくなります。
次回の1on1で「前回話していた件、その後どう?」と確認することで、面談にも継続性が生まれます。
部下との1on1で使える「聞くことリスト」
毎回何を聞けばよいか迷う場合は、いくつか質問を用意しておくと便利です。
ただし、すべてを順番に質問する必要はありません。状況に合わせて、必要なものを選びましょう。
| 面談項目 | 質問例 |
|---|---|
| 現在の状況 | 気になったことや変化はあった? |
| 業務負荷 | 予定していた時間内に終わらなかった仕事はある? |
| 困りごと | 「どう進めよう」と迷った仕事はあった? |
| 成功体験 | 以前よりスムーズにできた仕事はある? |
| 振り返り | うまくいった理由は何だと思う? |
| 人間関係 | 誰かに確認しづらくて止まった仕事はあった? |
| 支援 | 誰かに手伝ってもらえると進めやすい部分はある? |
| 成長 | 「もう少しできるようになりたい」と感じた仕事はある? |
| キャリアアップ | 今後やってみたい仕事はある? |
| 改善 | 最近、仕事をしていて判断に迷った場面はあった? |
「質問リストをすべて消化すること」が目的ではありません。
一つの質問から重要な話題が出てきた場合は、そのテーマについて掘り下げる方が有意義になることもあります。
部下が話してくれないときは?
「何か困っていることはある?」と聞いても、「特にありません」と返ってくることがあります。
この場合、必ずしも「部下に問題がない」とは限りません。
何を話せばよいのか分からない、評価への影響を気にしている、まだ上司との信頼関係ができていないなど、さまざまな理由が考えられます。
まずは質問を具体的に変えてみましょう。
「困っていることは?」ではなく、
「今やっている仕事の中で、一番時間がかかっているものは?」
「最近、もう少しこうなったら仕事がしやすいと思ったことは?」
と聞くことで、話すきっかけを作れる場合があります。
それでも話したくなさそうな場合、無理に本音を聞き出す必要はありません。日頃のコミュニケーションを積み重ねながら、安心して話せる関係をつくっていくことが大切です。
うまく進める3つのコツ
- 話しすぎないこと
部下の話を聞いている途中で自分の経験談や解決策を長く話してしまうと、上司が主役の面談になってしまいます。 - 前回の内容を次回につなげること
毎回ゼロから会話を始めるのではなく、「前回の課題がどうなったか」を確認すると、部下も「話したことを覚えてくれている」「相談したことに対応してくれている」と感じやすくなります。 - その場ですべてを解決しようとしないこと
業務量や人員配置など、すぐに解決できない課題もあります。その場合は、必要に応じて人事や他部署と連携するなど、面談後の対応につなげることが重要です。
まとめ
部下との1on1面談では、決められた質問をこなすことよりも、部下が現在感じていることや仕事での経験を振り返り、自分の考えを整理できる時間をつくることが重要です。
事前に前回の内容や聞きたいことを整理し、「近況確認→課題の確認→深掘り→次のアクション」という基本的な流れを持っておけば、初めて担当する方でも進めやすくなります。
また、部下から話が出てこない場合も、すぐに「やる気がない」「特に問題がない」と判断せず、質問の仕方や日頃のコミュニケーションを見直してみましょう。
一度の面談で完結させるのではなく、前回の内容を次回につなげながら継続することで、部下の課題発見や成長支援に活用できます。
Gozaru部では、人材に関する課題だけでなく、企業が抱えるさまざまな課題に合わせたサービスをご提案しています。「社内だけでは解決が難しい」「どのような対策が必要か分からない」といった場合には、ぜひお問い合わせください。
参考文献:
パーソル総合研究所|部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/1on1/?utm
日本能率協会(JMA)|1on1ミーティングとは何か?どうスキルを上げるのか?
https://solution.jma.or.jp/column/c211022-01/?utm
日本能率協会(JMA)|1on1ミーティングの効果を高めるには
https://solution.jma.or.jp/column/c210823/?utm
リクルートマネジメントスクール|部下の行動と学習を促進する1on1
https://school.recruit-ms.co.jp/course/detail/S00135/?utm

















