企業のメンタルヘルス対策とは?中小企業が取り組むべき方法と注意点を解説

中小企業が取り組むべき企業のメンタルヘルス対策の方法と注意点を解説

従業員のメンタルヘルス対策は、心の健康を守るだけでなく、休職や離職の防止、働きやすい職場環境づくりにもつながる重要な取り組みです。

特に中小企業では、人事担当者が他の業務を兼任していることも多く、相談体制の整備や不調の早期発見が課題になる場合があります。

また、2028年4月からは従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されるため、企業規模にかかわらず対応が求められます。

本記事では、企業がメンタルヘルス対策に取り組むべき理由や4つのケアの基本、中小企業でも実践できる具体的な方法、法律上の注意点を解説します。

メンタルヘルス対策とは?企業に必要な理由

メンタルヘルス対策とは、従業員の心の健康を守り、ストレスや精神的な不調を予防・早期発見し、必要な支援につなげる取り組みです。

企業におけるメンタルヘルス対策には、従業員自身によるストレスへの対処だけでなく、職場環境の改善や相談窓口の整備、管理職による適切な対応などが含まれます。

例えば、業務量の偏りを見直す、定期的に面談を実施する、悩みを相談できる環境を整えるといった取り組みも、メンタルヘルス対策の一つです。

重要なのは、不調が発生してから対応するだけでなく、従業員が安心して働き続けられる環境を日頃から整えることです。

従業員のメンタル不調が企業に与える3つの影響

従業員のメンタル不調は、本人だけでなく、企業の採用活動や職場運営にも影響を及ぼす可能性があります。
特に企業が注意したいのは、次の3つです。

休職・離職による人材不足

従業員がメンタル不調によって休職・離職すると、担当業務の引き継ぎや人員の補充が必要になります。
特に少人数で業務を分担している中小企業では、一人の休職が他の従業員の業務負担増加につながる場合があります。

生産性の低下と職場への影響

ストレスや心身の不調を抱えた状態では、集中力や仕事への意欲が低下する場合があります。
また、業務量の偏りや人間関係の問題が改善されないままでは、周囲の従業員にも負担が広がる可能性があります。

採用・教育コストの増加

離職によって欠員が発生すると、新たな人材の募集や採用活動、入社後の教育が必要になります。
採用にかかる費用だけでなく、担当者の業務時間や新入社員が仕事に慣れるまでの教育負担も発生します。
このように、メンタルヘルス対策は従業員の健康を守ると同時に、安定した組織運営や人材定着を支える取り組みでもあります。

メンタル不調による休職・復職で企業が注意したいこと

メンタル不調によって従業員が休職した場合、企業は休職期間中の対応だけでなく、復職後の働き方まで考える必要があります。

休職制度が整っていても、休職前と同じ業務量や職場環境に戻ることで、再び負担が大きくなる可能性があるためです。

企業が確認したいポイントは、次の3つです。

  • 休職中の対応: 本人の療養状況や意向に配慮しながら、連絡方法や頻度を調整する
  • 復職前の準備: 主治医の意見などを踏まえ、産業医等の専門家と連携しながら復職の可否や必要な配慮を検討する
  • 復職後のフォロー: 業務量や勤務時間を必要に応じて調整し、定期的に状況を確認する

また、休職・復職に関する就業規則を確認し、手続きや判断基準を整理しておくことも重要です。

復職の判断は、本人の希望だけでなく、医学的な意見や業務遂行の可能性などを踏まえて慎重に行う必要があります。

休職前に長時間労働や人間関係などの問題があった場合には、本人への支援とあわせて職場環境の見直しも検討しましょう。

企業が取り組むべき4つのメンタルヘルスケア

厚生労働省の指針では、職場のメンタルヘルス対策を進めるうえで「4つのケア」が重要とされています。
企業はこれらを組み合わせながら、従業員の不調予防や早期対応に取り組むことが大切です。

セルフケア

従業員自身がストレスや心身の変化に気づき、適切に対処することです。
企業では、ストレスへの対処方法を学ぶ研修や、相談窓口の案内などを通じて、従業員のセルフケアを支援できます。

ラインによるケア

管理職が部下の様子や職場環境を把握し、必要な対応を行うことです。例えば、業務量が急に増えていないか、残業が続いていないか、普段と様子が変わっていないかなどを確認します。
不調が疑われる場合は、本人の話を聞き、必要に応じて人事担当者や専門家につなぐことが重要です。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア

産業医や保健師、衛生管理者などが、専門的な立場から従業員の健康管理や職場環境の改善を支援することです。
企業は、相談体制や情報共有の方法を整え、必要なときに専門的な支援を受けられるようにします。

事業場外資源によるケア

社外の医療機関や相談機関、EAP(従業員支援プログラム)などを活用することです。
社内に専門の担当者がいない中小企業でも、外部の専門機関と連携することで相談体制を整えやすくなります。

4つのケアは、どれか一つを実施すればよいものではありません。企業の規模や体制に合わせて、継続的に取り組むことが重要です。

中小企業が実践できるメンタルヘルス対策5選

メンタルヘルス対策は、大規模な制度や専門部署がなければ実施できないものではありません。
中小企業でも、日常の業務管理や従業員とのコミュニケーションを見直すことから始められます。

1. 定期的な面談の機会を設ける

従業員が仕事の悩みや負担を相談できるよう、定期的に面談の機会を設けましょう。
面談では、仕事の進捗だけでなく、業務量や職場で困っていることなどを確認します。
ただし、面談で無理に個人的な事情を聞き出すのではなく、本人が安心して話せる環境を整えることが大切です。

2. 業務量や残業時間を確認する

特定の従業員に業務が集中していないか、長時間労働が続いていないかを確認します。
必要に応じて、担当業務の分担やスケジュールを見直しましょう。

3. 相談窓口を整備する

直属の上司には相談しにくい悩みもあるため、上司以外に相談できる窓口を用意することが重要です。
社内で対応が難しい場合は、外部の相談機関を活用する方法もあります。
相談内容の取り扱いやプライバシー保護についても、事前にルールを整えておきましょう。

4. 管理職向けの研修を実施する

従業員の不調を早期に把握するためには、管理職の理解も欠かせません。
部下への声のかけ方、相談を受けた際の対応、専門家につなぐ判断などを学ぶ機会を設けましょう。
管理職だけで問題を抱え込まない仕組みづくりも重要です。

5. 職場環境を定期的に見直す

メンタルヘルス対策は、一度実施して終わりではありません。
従業員へのアンケートや面談、勤怠状況などを参考に、業務負担や職場環境に改善すべき点がないかを確認しましょう。
改善内容を従業員に共有することで、相談や意見が職場づくりに反映されていることも伝えられます。

従業員にメンタル不調が見られた場合の対応方法

従業員にメンタル不調が疑われる場合、企業は早期に状況を把握し、必要な支援につなげることが重要です。
不調を放置すると本人の健康状態が悪化するだけでなく、休職や離職につながる可能性もあります。

1. 普段と異なる様子がないか確認する

遅刻や欠勤が増えた、仕事でのミスが増えた、表情や言動に変化が見られるなど、普段との違いに気づくことが早期対応のきっかけになります。
ただし、こうした変化だけでメンタル不調と決めつけることは避けましょう。

2. 本人の話を聞き、必要な支援を確認する

本人が安心して相談できる環境を整え、仕事上の負担や困っていることを確認します。
一方的に原因を判断したり、無理に詳しい事情を聞き出したりせず、本人の意向やプライバシーに配慮することが大切です。

3. 必要に応じて専門家と連携する

メンタル不調が疑われる場合は、人事担当者や管理職だけで判断せず、産業医や医療機関などの専門家につなぐことを検討しましょう。
また、業務負担が原因となっている可能性がある場合は、業務量や勤務時間の調整なども検討します。
企業は本人への支援とあわせて、職場環境に改善すべき点がないか確認することが重要です。

メンタルヘルス対策で企業が知っておきたい法律と義務

企業には、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。
メンタルヘルス対策を進める際には、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度についても理解しておく必要があります。

ストレスチェックは2028年4月から50人未満の事業場にも義務化

ストレスチェックとは、従業員自身がストレスの状態に気づき、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。
従来は常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務づけられていましたが、2025年の法改正により、2028年4月1日からは50人未満の事業場にも義務が拡大されます。
中小企業でも、実施方法や外部機関との連携、従業員のプライバシー保護などについて準備を進めることが重要です。

ストレスチェックの結果を適切に取り扱う

ストレスチェックの結果は、従業員の健康に関する重要な個人情報です。企業が本人の同意なく個人の検査結果を取得することはできません。
また、医師による面接指導の申し出などを理由に、従業員に不利益な取り扱いをしてはいけません。
制度を実施するだけでなく、従業員が安心して利用できる運用体制を整えましょう。

専門家と連携して適切に対応する

ストレスチェックで高ストレスと判定され、本人から医師による面接指導の申し出があった場合は、法令に基づき面接指導を実施する必要があります。また、従業員にメンタル不調が疑われる場合、企業だけで病状を判断することは適切ではありません。

必要に応じて産業医や医療機関などの専門家と連携し、本人の健康状態や業務上の配慮について検討しましょう。

まとめ

企業のメンタルヘルス対策では、不調が発生してから対応するだけでなく、日頃から働きやすい職場環境を整えることが重要です。

定期的な面談や業務負担の見直し、相談体制の整備など、中小企業でも取り組めることから始めてみましょう。また、人材の定着を考えるうえでは、採用段階で仕事内容や労働条件を正確に伝え、入社後のミスマッチを防ぐことも大切です。

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参考文献・参考資料:

厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69680.html

厚生労働省「こころの耳|ストレスチェック制度について(労働者数50人未満の事業場)」
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/small-sc/

弁護士法人ALG&Associates「職場でのメンタルヘルス不調社員への対応とは?」
https://xn--alg-li9dki71toh.com/column/mental-health-point/

アヴェニール「産業医関連コラム」
https://www.avenir-executive.co.jp/sangyoui/column-list/column0819-1/

ピースマインド「若手社員のメンタル不調予防と対処方法」
https://www.peacemind.co.jp/workingbetter-info/23

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鬼頭 亨輔
人材会社で採用支援に携わっています。人材不足に悩む企業をサポートしながら、アグリゲーションサイトの特徴やオウンドメディアの活用法など、日々学びを深めています。このブログでは、採用現場での気づきや最新情報をわかりやすく発信していきます。ぜひ気軽にご覧ください!