企業が副業を認めるメリット・デメリットとは?離職への影響と採用への活かし方

企業が副業を認めるメリット・デメリットとは?離職への影響と採用への活かし方

働き方の多様化に伴い、求人情報で「副業OK」「Wワーク可」といった条件を目にする機会があります。

企業側では「副業で得たスキルを活かして転職・独立してしまうのではないか」「本業に支障が出るのではないか」といった懸念から、副業を認めることに慎重な場合もあるでしょう。

その一方で、副業・兼業による効果として、人材定着や社員のモチベーション向上を挙げる企業もあります。

副業制度は、社員の働き方を広げるだけでなく、採用活動や人材育成にも活用できる可能性があります。

本記事では、副業を認めることが採用活動に与える影響や企業側のメリット、離職に関する調査結果、求人原稿への反映方法について解説します。

副業OKの求人は採用活動にどのような影響がある?

副業を希望する求職者にとって、副業が認められているかどうかは、応募先を選ぶ際の判断材料の一つになります。

例えば、現在の仕事とは別に専門スキルを活かした活動を続けたい人や、収入源を増やしたい人にとって、副業可能な職場は魅力的な選択肢となります。

厚生労働省も、副業・兼業を認めているかどうかや、その条件を企業が公表することは、働く人の職業選択に役立つとしています。

企業が副業制度を設けている場合は、給与や休日、仕事内容などの基本条件とあわせて紹介することで、自社の働き方の特徴をより具体的に伝えられます。

「副業OK」という条件だけで応募数が増えるわけではありません。給与や休日、仕事内容など、求職者が重視する条件とのバランスも重要です。

副業を認めると離職が増える?企業の懸念と調査結果

副業を認めることで、社員が新しいスキルや人脈を得て、転職や独立につながるのではないかと懸念する企業もあるでしょう。

特に、少人数で事業を運営する中小企業では、社員一人の退職が業務に与える影響も大きく、副業の容認に慎重になることが考えられます。

こうした懸念に対して、企業の実態調査では、副業・兼業による効果として人材定着を挙げる回答も見られます。

副業による効果として「人材の定着」を挙げた企業も

東京都産業労働局が2020年に実施した「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」では、副業・兼業による効果として、次のような回答がありました。

副業・兼業による効果回答割合
人材の定着38.1%
従業員のモチベーション向上32.6%

出典:東京都産業労働局「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」(2020年)
※回答割合は、副業・兼業による効果についての企業の回答結果であり、実際の離職率の改善幅を示すものではありません。

この調査結果は、副業・兼業を認めることが人材定着や社員の意欲向上につながると評価している企業があることを示しています。

副業によって得た知識や経験を社内で活かせる環境を整えることは、社員の成長を支援するとともに、企業の人材育成を考えるうえでも参考になります。

人材定着には職場環境の整備も重要

社員が長く働き続けられる職場をつくるには、副業制度とあわせて、日頃の働き方や職場環境を整えることも大切です。

例えば、業務量の適正化や評価制度の見直し、社員との定期的な面談などが挙げられます。

副業を通じて新しい経験を積んだ社員が、その知識やスキルを本業でも活かせるようにすることで、仕事への意欲や成長実感につなげることができます。
企業としては、社員の挑戦を支援しながら、自社で働き続けたいと思える環境づくりを進めることが重要です。

企業が副業を認めることで期待できる3つのメリット

副業制度は社員個人の働き方に関するものですが、企業にとっても採用活動や人材育成など、さまざまな面でメリットが期待できます。

1.求職者に提示できる働き方の選択肢が増える

副業を認めることで、求職者に提示できる働き方の選択肢が広がります。特に、既に副業を行っている人が転職を検討する場合、現在の活動を継続できることは、応募先を選ぶうえでの魅力の一つとなります。

また、副業を認める制度があることは、社員の多様な働き方を尊重する企業姿勢を伝える機会にもなります。求人原稿では、副業制度を福利厚生や働き方の特徴として紹介することで、自社の魅力を伝える材料として活用できます。

2.社員のスキルアップにつながる

社員が社外の仕事に取り組むことで、本業では経験できない業務や考え方に触れる機会が生まれます。例えば、営業担当者が副業でマーケティング業務を経験すれば、顧客への提案方法や情報発信について新しい視点を得られる可能性があります。

また、副業で培った知識や経験を社内で共有することで、ほかの社員の学びにつなげることもできます。
社員が新しい分野に挑戦できる環境を整えることは、個人の成長だけでなく、企業全体の人材育成にも役立つでしょう。

3.多様な働き方への対応と人材定着につながる

副業を認めることで、社員は自身のキャリアや将来の働き方について、より多くの選択肢を持てるようになります。

収入を増やしたい人や専門性を高めたい人など、社員それぞれの希望に対応できることは、働きやすい職場環境づくりの一つです。

また、社員の挑戦を支援する企業姿勢は、会社への満足度や働く意欲にも関係すると考えられます。
副業制度を人材育成や職場環境の改善と組み合わせることで、社員が長く働き続けられる環境づくりにつなげることができます。

副業を認める前に企業が確認したい注意点

副業制度を導入する際は、社員が安心して取り組めるよう、労務管理や情報管理などのルールを整えておくことが大切です。

労働時間と健康管理

副業先でも雇用契約を結んで働く場合、一定の条件のもとで労働時間の通算管理が必要になります。
また、社員が健康を維持しながら働けるよう、副業先での勤務状況を確認する仕組みも重要です。
副業の契約形態によって労働時間管理の取り扱いが異なるため、雇用契約と業務委託の違いも踏まえて制度を整備しましょう。

情報漏洩や競業への対応

社員が副業先で自社の顧客情報や営業情報などを使用しないよう、守秘義務や情報管理に関するルールを明確にしておく必要があります。

また、競合企業での副業についても、企業の正当な利益を保護する観点から、合理的なルールを設けることが大切です。

就業規則と求人内容の一致

副業を認める場合は、事前申請の有無や認められる業務の範囲などを明確にしておきましょう。

求人原稿でも、実際の制度に沿った内容を記載することで、応募者が入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。

副業・兼業に関する労務管理や法律上の注意点については、関連記事「Wワーク・副業時代に企業が押さえるべき法律と割増賃金の注意事項」でも紹介しています。

副業OKを求人原稿に記載するときのポイント

副業制度を採用活動に活かすためには、実際にどのような働き方が認められているのかを、求人原稿で分かりやすく伝えることが重要です。

副業の条件を具体的に記載する

求人原稿を作成する際は、次のような条件を確認しましょう。

  • 副業・兼業を認めているか
  • 事前の申請や届出が必要か
  • 業種や仕事内容に制限があるか
  • 勤務時間や休日に関する条件があるか

応募者が知りたい情報を整理し、必要な条件を具体的に記載することで、入社後の働き方をイメージしやすい求人原稿になります。

求人原稿の記載例

例1:副業を認めている場合

「副業・兼業可(社内規定あり)。事前の届出により、本業に支障のない範囲で副業が可能です。」

例2:条件付きで認めている場合

「副業相談可。仕事内容や勤務時間などを確認し、社内規定に基づいて判断します。」

企業ごとの制度に合わせて具体的に記載することで、応募者との認識の違いを防ぎ、安心して応募を検討してもらいやすくなります。

副業以外の採用条件も見直す

副業制度は求人のアピール材料の一つです。採用活動では、ほかの条件も含めて自社の魅力を整理することが重要になります。

例えば、求人への応募が少ない場合は、次のような点を確認してみましょう。

  • 給与は同じ地域・職種の求人と比較して適切か
  • 仕事内容が具体的に伝わっているか
  • 休日や勤務時間が分かりやすく記載されているか
  • 求める人物像と求人条件が一致しているか

さらに、応募者の属性や面接への進捗状況を確認することで、採用ターゲットとのずれや改善すべき点を把握しやすくなります。

副業制度も含めた採用条件を整理し、求職者にとって分かりやすい求人原稿を作成することが、採用活動の改善につながります。

まとめ

副業を認めることは、求職者に働き方の選択肢を示し、社員のスキルアップやキャリア形成を支援する方法の一つです。

社員の離職を懸念する企業もありますが、調査では人材定着やモチベーション向上を効果として挙げた企業もあります。

副業制度を採用活動に活かすには、自社の業務内容や働き方に合ったルールを整え、その魅力を求人原稿で正確に伝えることが重要です。

Gozaruでは、企業ごとの採用課題や求人条件を踏まえ、求人原稿の作成・改善を支援しています。

「求人を出しても応募が集まらない」「自社の魅力をうまく伝えられていない」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。


参考資料

マイナビ「副業OKで定着率アップ?政府も後押しする『副業容認』は中途採用の大きなチャンスに」
https://tameni.mynavi.jp/diversity/7144/

厚生労働省「副業・兼業」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

厚生労働省「副業・兼業と労働条件」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_fukugyoutokengyou.html

東京都産業労働局「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/kengyo_fukugyo.pdf

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鬼頭 亨輔
人材会社で採用支援に携わっています。人材不足に悩む企業をサポートしながら、アグリゲーションサイトの特徴やオウンドメディアの活用法など、日々学びを深めています。このブログでは、採用現場での気づきや最新情報をわかりやすく発信していきます。ぜひ気軽にご覧ください!