「最近、社員の集中力が続かない」「ミスが増えている」「疲れている社員が多い」と感じることはないでしょうか。
仕事のパフォーマンスが低下する原因は、業務量や職場環境だけとは限りません。その一つとして考えられるのが「睡眠不足」です。
睡眠不足は集中力や判断力などに影響するため、従業員個人の健康管理だけではなく、企業にとっても考えておきたい課題です。
本記事では、睡眠と仕事のパフォーマンスの関係と、人員不足でも取り入れやすい職場からの改善方法について紹介します。
睡眠不足は仕事のパフォーマンスにどう影響する?
睡眠は単に身体を休めるためだけの時間ではありません。睡眠不足が続くと、集中力や判断力など、仕事をするうえで必要となるさまざまな能力に影響する可能性があります。
そのため、「最近仕事の効率が落ちている」「ミスが増えている」といった状況について、本人の能力や意欲だけを原因とせず、睡眠や疲労の状況にも目を向けることが大切です。
集中力や注意力が低下する
睡眠が不足すると、仕事中に集中力が続かなかったり、注意力が低下したりする可能性があります。
例えば、
- 入力内容や書類の確認漏れが増える
- 会議中に話の内容を十分に理解できない
- 同じ作業に通常より時間がかかる
- 作業中に注意がそれやすくなる
といったことが考えられます。
特に製造や運送など、安全確認が重要となる仕事では、注意力の低下がミスだけでなく事故につながる可能性もあります。
判断力の低下やミスにつながる
仕事では、日々さまざまな判断が求められます。
営業であれば顧客への対応、管理職であれば部下への指示、人事担当者であれば応募者への対応など、状況に応じて判断しなければなりません。
睡眠不足によって集中力や判断力が低下すると、普段であれば気づけるミスを見落としたり、判断に時間がかかったりする可能性があります。
小さな判断ミスであっても、積み重なれば業務効率や顧客対応の品質などに影響することがあります。
記憶や学習にも影響する
睡眠は、日中に得た情報や記憶の整理にも関係しています。
新しい業務を覚えたり、研修で学んだ内容を身につけたりするうえでも、睡眠は重要です。
そのため、研修や教育を増やしても、従業員が慢性的な睡眠不足や疲労を抱えていれば、十分な効果を得られない可能性があります。
特に新入社員や配置転換直後の社員など、新しく覚えることが多い時期には、業務量だけでなく休息が十分に取れているかにも目を向けてみましょう。
心身の健康にも影響する
睡眠不足が続くことは、仕事中のパフォーマンスだけでなく、心身の健康にも関係します。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠不足は日中の眠気や疲労だけでなく、注意力や判断力の低下、作業効率の低下などにつながることが示されています。
従業員の疲労や不調が続いている場合は、「本人の自己管理」と決めつけるのではなく、業務量や勤務時間なども含めて状況を確認することが重要です。
睡眠不足は個人だけでなく企業にとっても課題
睡眠時間や生活習慣は従業員一人ひとりによって異なるため、基本的には個人で管理する部分もあります。
一方で、睡眠不足の原因がすべてプライベートにあるとは限りません。
例えば、
- 長時間労働が続いている
- 残業が常態化している
- 夜遅くまで業務連絡が届く
- 休憩を十分に取れていない
- シフトによって生活リズムが乱れやすい
- 人手不足によって一人に業務が集中している
といった職場環境が、十分な休息を取れない原因になっていることも考えられます。
特に従業員数が限られている企業では、一人が複数の業務を担当しているケースも少なくありません。
一人のパフォーマンスが低下すると、ほかの社員が業務をカバーし、その社員の負担まで増えてしまうことがあります。
そのため、睡眠を単なる「従業員個人の生活習慣」として捉えるのではなく、十分な休息を取れる働き方になっているかという職場環境の視点から考えることも大切です。
睡眠の質を高めるために職場からできる5つのアプローチ
従業員の睡眠改善のために、必ずしも新しい制度や設備を導入する必要はありません。まずは現在の働き方を確認し、十分な休息を取れる環境になっているかを見直してみましょう。
- 残業や長時間労働の状況を確認する
会社全体の平均だけでなく、特定の部署や社員に残業・業務が集中していないか確認します。偏りがある場合は、業務分担や仕事の進め方を見直しましょう。 - 休憩を取りやすい環境をつくる
休憩時間があっても、忙しさや電話対応などで十分に休めていない場合があります。休憩中の業務を交代制にするなど、実際に休める環境を整えることが大切です。 - 勤務時間やシフトを確認する
早朝・夜間勤務などがある職場では、勤務間隔やシフトに偏りがないか確認しましょう。実際に働く従業員の負担を聞きながら調整することも重要です。 - 睡眠や休息について情報を共有する
大がかりな研修を行わなくても、社内報や朝礼、社内チャットなどで睡眠や休息について情報提供できます。従業員自身が健康管理を考えるきっかけをつくりましょう。 - 従業員の声を聞く
残業時間などの数字だけでは、実際の負担が分からないこともあります。面談やアンケートで、業務量・休憩・勤務時間などで困っていることがないか確認しましょう。
従業員自身ができる睡眠の質を高める方法
職場環境を整えるだけでなく、従業員自身が睡眠について意識することも重要です。
企業から情報提供する際には、次のような基本的なポイントを伝える方法があります。
- 規則正しい生活リズムを意識する
毎日の起床時間などをできるだけ一定にすることで、生活リズムを整えやすくなります。
休日だからといって生活時間が大きく変わると、生活リズムが乱れる原因になる場合があります。
- 就寝前の過ごし方を見直す
就寝直前まで仕事をしたり、スマートフォンやパソコンを使用したりすることが習慣になっている人もいるでしょう。
睡眠の質を高めるためには、寝る前にリラックスできる時間を設けることも大切です。
仕事とプライベートを切り替えやすくするためにも、企業側から退勤後の不要な連絡を減らすといった配慮も考えられます。
- 必要に応じて短時間の休息を取る
午後に眠気を感じる場合などには、短時間の休息を取ることも選択肢の一つです。
ただし、すべての企業で昼寝を制度化する必要はありません。業務内容や職場環境に合わせて、休憩時間を適切に取れる環境を整えることから考えてみましょう。
睡眠改善に取り組む企業の事例
実際に、従業員の健康や生産性向上の観点から睡眠に着目している企業もあります。
例えば伊藤忠商事では、従業員の睡眠状態を可視化し、睡眠に関する課題に応じた支援を行う「睡眠改善プログラム」に取り組んでいます。
また、プレス工業では、睡眠に関するeラーニングや睡眠状況のチェック、個別面談などを行っています。
まったく同じ制度をそのまま導入する必要はありません。
参考にしたいのは、「睡眠は本人だけの問題」とせず、従業員が自身の状態を知り、改善について考えられる機会を企業側からつくっている点です。
まずは社内アンケートで疲労や休憩について確認したり、健康管理に関する情報を社内で共有したりするところから始める方法もあります。
まとめ
睡眠不足は、集中力や判断力など仕事のパフォーマンスに影響する可能性があります。ただし、「仕事中にミスが増えた」「集中力が低下している」といった問題が、すべて睡眠不足によって起きているとは限りません。
業務量や人員配置、職場の人間関係、仕事内容とのミスマッチなど、さまざまな要因が考えられます。そのため、社員のパフォーマンス低下が気になる場合は、睡眠だけを原因とせず、業務量や労働時間、休憩の取り方など、職場全体を確認することが大切です。
大きな制度を導入する前に、まずは現在の働き方を把握し、従業員の声を聞くことから始めてみましょう。
Gozaruでは、採用だけでなく、人材に関するさまざまなお悩みに合わせたサポートを行っています。「人手不足で一人ひとりの負担が大きい」「採用してもなかなか定着しない」「自社の人材に関する課題を整理したい」などのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf令和5年版 厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/23/dl/1-01.pdf伊藤忠商事「睡眠改善プログラム」
https://www.itochu.co.jp/ja/about/work_style/topics/202510.htmlプレス工業「健康経営」
https://www.presskogyo.co.jp/sustainability/social/health_management/


















