奨学金返還支援制度とは?企業が導入するメリット・仕組み・導入方法を解説

奨学金返還制度を解説。仕組みから導入方法、メリットまで解説

新卒・若手人材の採用に向けて、給与だけでなく福利厚生を見直す企業も増えています。
その選択肢の一つが「奨学金返還支援制度」です。
奨学金を返還している従業員の負担を企業が支援する制度で、若手社員への福利厚生として活用できます。
この記事では、奨学金返還支援制度の仕組みや企業・従業員それぞれのメリット、導入時に決めておきたいポイントについて紹介します。

奨学金返還支援制度とは?

企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度とは、日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金を返還している従業員に対して、企業が返還額の一部または全額を支援する制度です。

JASSOの代理返還制度では、企業から従業員へ支給するのではなく、企業がJASSOへ直接送金できます。
対象となるのは、JASSOの第一種奨学金・第二種奨学金を返還している従業員です。
2026年3月末時点では、全国4,852社がこの制度を利用しています。

奨学金を利用している学生はどのくらいいる?

JASSOの「令和6年度学生生活調査」によると、大学学部(昼間部)で何らかの奨学金を受給している学生は51.1%でした。
すべての学生が貸与型奨学金を利用しているわけではありませんが、奨学金は学生にとって身近な制度の一つです。
そのため、奨学金返還支援は、新卒・若手人材向けの福利厚生を検討する企業にとって選択肢の一つになります。

企業が奨学金返還支援制度を導入するメリット

奨学金返還支援制度は、従業員の経済的な負担を軽減するだけではありません。
企業側にも、人材採用や定着に活用できる可能性があります。

新卒・若手人材へのアピールになる

給与や仕事内容に加えて、福利厚生も企業選びの判断材料になります。
特に奨学金を返還している求職者にとって、毎月の返還を企業が支援してくれることは具体的なメリットになります。
求人票や採用サイトで制度を紹介することで、自社の特徴として伝えることもできます。
ただし、制度を導入すれば必ず応募が増えるわけではありません。
給与、仕事内容、勤務地、休日などの基本的な条件を整えたうえで、プラスの福利厚生として活用することが大切です。

若手社員の定着支援につながる可能性がある

JASSOも企業側のメリットとして、若手人材へのアプローチや人材定着への活用を挙げています。毎月の奨学金返還負担を企業が支援することで、従業員が安心して働き続けるためのサポートになります。
ただし、離職には仕事内容、人間関係、給与、キャリア、労働環境などさまざまな要因があります。
奨学金返還支援だけを離職防止策とするのではなく、職場環境の改善などとあわせて考えましょう。

税制上のメリットを受けられる場合がある

JASSOの代理返還制度を利用し、企業からJASSOへ直接送金した場合、従業員が支援を受けた金額は所得税が非課税となり得ます。
また、企業側についても、一定の条件のもとで損金算入や「賃上げ促進税制」の対象となる場合があります。
税務上の取り扱いについては条件によって異なるため、導入時には税理士などの専門家への確認がおすすめです。

実際にどのような企業が導入している?

奨学金返還支援制度は、大企業だけの制度ではありません。JASSOでは、制度を導入している企業を地域や業種から検索できます。

実際に公開されている企業を見ると、

  • 毎月1万円を支援する
  • 毎月2万円を上限として支援する
  • 支援期間を5年間とする
  • 支援総額に上限を設定する

など、企業によって制度設計はさまざまです。

自社で制度を検討するときは、同じ地域や業種、従業員規模が近い企業の制度を参考にすると、支援額や支援期間を考えやすくなります。

奨学金返還支援制度を導入するときに決めること

制度を導入する場合は、「いくら支援するか」だけでなく、対象者や期間などもあらかじめ整理しておきましょう。

  1. 対象者を決める
    まずは、誰を支援対象にするのかを決めます。
    例えば、
    ・新卒入社者のみ
    ・一定年齢以下の社員
    ・新卒・中途を問わず対象

    などが考えられます。
    現在働いている社員との公平性も考えながら設計しましょう。
  2. 支援額と期間を決める
    次に、毎月の支援額と支援期間を決めます。
    例えば「月1万円を5年間」とした場合、1人あたり最大60万円の支援になります。
    採用予定人数や対象となる既存社員数も確認し、継続して運用できる金額を設定することが重要です。

導入したら求人や採用サイトでも伝えよう

制度を導入しても、求職者に知られていなければ採用上のメリットを十分に活かせません。
求人票の福利厚生欄に「奨学金返還支援制度あり」と記載するだけでなく、

「月額○円まで」
「最長○年間」
「対象となる条件」

など、具体的な内容まで記載しましょう。採用サイトでは、制度を導入した背景や実際に利用している社員の声を紹介する方法もあります。

「制度があります」だけではなく、「誰が・どのくらい支援を受けられるのか」まで伝えることがポイントです

まとめ

奨学金返還支援制度は、奨学金を返還している社員の経済的負担を軽減できる福利厚生です。企業にとっても、新卒・若手人材へのアピールや社員の定着支援に活用できる可能性があります。

一方で、制度を導入するだけで応募数や定着率が改善するとは限りません。まずは自社の採用課題が「給与」「求人の見せ方」「認知度」「仕事内容」「福利厚生」のどこにあるのかを整理し、そのうえで奨学金返還支援が自社の採用ターゲットに合うかを検討することが大切です。

Gozaru部では、「応募が集まらない」「求人の魅力をうまく伝えられない」「自社に合った採用方法を知りたい」といった企業の採用課題に合わせて、求人や採用活動の見直しをサポートしています。採用についてお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

日本学生支援機構「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/
日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査」
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/2024.html
日本学生支援機構「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度検索」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/search/index.html

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鬼頭 亨輔
人材会社で採用支援に携わっています。人材不足に悩む企業をサポートしながら、アグリゲーションサイトの特徴やオウンドメディアの活用法など、日々学びを深めています。このブログでは、採用現場での気づきや最新情報をわかりやすく発信していきます。ぜひ気軽にご覧ください!